SHOSAPO(生涯学習サポート兵庫)

「あそび」が仕事。大真面目にあそんでいます。

 

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■挑戦するということ。

 

生涯学習サポート兵庫の事務所は、川のほとり。

春には桜が満開になる河原に面しています。

 

インタビューを依頼すると「河原に行きましょう」と案内され

ロケーションを確認するうちに

理事長は木に登ってしまい…。

 

10年前「キャンプ屋さん」と自称してはじまった生涯学習サポート兵庫(以下 SHOSAPO)。

年齢を問わず、これまで何十万人ものこどもたちにキャンププログラムを提供してきました。

対象も、不登校児、父子、障がいのある子どもなどとさまざま。

最近では無人島で一週間自給自足生活をするキャンプや、いろんなキャラクターが登場するストーリーキャンプが

人気を集めています。

 

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木の上でまじめに話を進めているのは、SHOSAPO理事長の山崎清治さん(通称やまさん)。

いついかなるときも「あそび」を忘れないクリエイターです。

 

先にも述べたように

プログラムを提供する一般的な「講師」に当たる人々を、SHOSAPOでは「あそびクリエイター」と呼んでいます。

社会を元気にする「あそびプログラム」を、たくさんの人に提供しています。

 

 

木の上にいるやまさんに

今の子どもたちに、キャンプが必要と思われる理由をきいてみました。

 

やま:キャンプにはいろんな要素が含まれています。

 子どもたちにとって必要な、生きる力が得られるものなんですよ。

 たとえばコミュニケーションが苦手な子も、

 仲間とコミュニケーションしなければ料理すら作ることができない。

 

最近、子どもたちができないから…と最初からチャレンジしない子が増えているように感じます。

自分ができないコトをしないし、新しい友達に関わろうとしない。

 

でもね、私たち大人もどうでしょうね。

自分のできないことに果敢に挑戦してるかな?

どんどん仲間を増やそうとしてるか?

 

 

改めて問われると、どうだろう…。

 

 

やま:子どもたちの周囲の私たちが他人とかかわることをしていないと思うんです。

 子どもたちのコミュニケーション不足ってよく言われますが、

 新しい人と関わらないのは大人が関わらないから

 できないコトに挑戦しないのは大人が挑戦しないからなんですね。

 

 

■みんな違う。

 

SHOSAPOでは、「挑戦」という言葉をとても大切にしています。

毎年行う過酷な大冒険…この2大プログラムに多くの子どもたちが挑戦します。

夏には無人島で一週間自給自足生活に挑戦するプログラムと

春に、兵庫県をリアカーと共に徒歩で縦断するプログラム。

 

これらを実施しているのは、SHOSAPO人気NO.1あそびクリエイター 榎本英樹さん(通称えのちゃん)。

40歳をこえて子どもたちと一緒に兵庫県縦断、距離にして150km歩くんだから

かなりタフな人です。

 

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この夏も無人島での一週間自給自足生活を無事終えたとのこと。

あえて過酷な状況下で子どもたちに得てもらいたいものとは…

 

 

えの:チャレンジアイランド(無人島一週間自給自足生活)で身に付けてほしい力は

 「役割を見つける力」。

 集団の中で自分の役割を見つけて小さな環境の変化に応じて自分のポジションを見つける力を養ってほしいんです。

 たとえば家庭での自分と学校での自分は違うし、学校でもクラス内と部活動の時は違うでしょう。

 どんな環境でも常に「自分の役割=居場所」を見つけていかないといけない。

 あらかじめ決められた職業や係といった通用している役割分担がないから、

 どうしたら人の役に立てるかを考える。

 また、無人島では電気やガスだけでなくルールもないから、役割を探すだけでなく

 どうしたら迷惑かけないかって考えないといけないんです。

 そんな試行錯誤の経験を実生活にいかしてくれたらいいなあと思って毎年企画してます。

 無人島にも、いろんな子がきます。年齢も9歳から15歳までいろいろ。

 みんな目標や目的をもって、そして心の中に挫折や不安を抱えてやってくるんですよ。

 

 

無人島は同じ境遇のもと、それぞれがそれぞれの役割を探して生活します。

抱えるものは違っても、

与えられる条件は、みんな同じ…。

 

 

やま:

「みんなオナジ」でなく「みんなチガウ」という前提に立てば、

コミュニケーションは変わると思うんですね。

 

自分とチガウ人とどれだけ同じ時間を過ごすかというのは、とても大切なことなんです。

無人島も兵庫県縦断もそうですが

キャンプはそれが自然にできるフィールドなんです。

ホントは地域や様々なコミュニティに子ども達を存在させて、

いろんな人と関わらせたほうがいい。

どのコミュニティでも全部自分の役割やポジションは違うから

役割を見つけるチカラがどんどん育つ。

そんな機会を経て、

子ども達はどんな集団に入っても

自分の役割、居場所を見つけることが出来るようになる。

それが昔の子ども達の社会。

でも、今はそんなにたくさんのコミュニティに参加する機会も必要性もない。。

だから、いろんな人が集まって、助け合わないといけない場を作るんですよ。

つまり、キャンプですよね。

 

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■子どもたちの「生きる力」を信じて

 

やま:もうひとつ、キャンプの大きな魅力は、対自然であるということです。

 

 家族でキャンプにいったとき、何か失敗したとしても自然が相手なワケだから

 だれも自然に対して文句は言わない。言っても仕方ないし。

 そして壮大な自然を目前にすると

 大人も子どもも一緒にチャレンジャーになれますよね。

 だから人同士の共感が自然に生まれるんです。

 だから、コミュニケーションが生まれる。

 大人も、親も、子どもと同じ、一緒にチャレンジャーにならないとダメな時が必ずある。

 「連れて行ってあげよう」では、共感を生まない。

 無人島一週間自給自足生活プログラムも、舞台を無人島にした理由は、

 キャンプの「最後には大人がなんとかしてくれるやろ」を究極になくしたかったから。

 食料がなくなっても近くのスーパーで買い足せばいいか、とか

 帰りたくなったら迎えにきてもらったらいいか、なんて考えを絶望的になくしたわけです

 大人も一緒に寄り添うことしか出来ない。

 一週間どうやっても帰れない。

 一週間絶対にお迎えはこない。

 そんな過酷になるプログラムも、子どもたちは寄り添う大人たちと

 どうにかこうにか乗り越えていく。

 

そんな子どもたちのたくましい「生きる力」を感じながら

寄り添う大人たちも、どんどん進化しているようです。

 

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■あそびが仕事な人たち。

 

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「写真撮りますよ~」というと、全員がおかしなヒトになる。

 

「いつもこんな感じです」とさわやかな笑顔で答えるのは、

これまた人気講師の嘉仁さん(通称よしえもん)。

インタビューをお願いしたら、律儀に衣装に着替えてくれました。

 

彼は、パイレーツのキャプテン。

長年小学4年生までを対象としたストーリーキャンプを企画運営し、

多くの子どもたちに夢を持つことの大切さを伝えています。

パイレーツアドベンチャーは、架空のキャラクターがたくさん登場します。

もちろん完全オリジナルストーリー。

妖精がでてきたり、宇宙人がでてきたり…「実写可能か???」と思うようなキャラクターも

どうにかこうにかこなしてきたそうで。

これには、元リーダーで現在教員など社会人として活躍しているOBたちの協力が大きいとか。

 

よし:確かにストーリーは壮大です。

 だからこそ、みんなが主人公になれるし、何かをやり遂げた感が大きい。

 できなかったこと、苦手なことにチャレンジする舞台としては

 非現実的なストーリーが一役買ってくれていると思います。

 

 

事務所はいつもにぎやか…そして、だれもがサービス精神旺盛です。

で、想像以上に人が多い…。

職員は、常勤・非常勤合わせて13名。

 

SHOSAPOには、あそびのプログラムを提供する「あそびクリエイター」のほか、

クリエイターと顧客、参加者をつなぐ「コーディネーター」が常駐しています。

なんと、クリエイターのスケジュールはコーディネーターが全ての采配をするという…。

さらに広報プランナーやら、デザイナーなどなど

いろんな人が事務所にいます。

 

 

今年10周年だそうですね。

 

 

嘉:そうなんですよ~。10年も活動を続けていると、

参加者だった子がリーダーとして活動にまた参加してくれることがあるんです。

お兄ちゃんやお姉ちゃんの活動についてきてた子が、自分のプログラムに参加してくれて

がんばってたりするのを見ると、感慨深い…。

遠い親戚のおじさんのような気分になりますよ(笑)。

最近では、事業にいろんな人が関わってくれています。

以前リーダーだった学生が教員になり、プログラムにアドバイスしてくれたり

参加者が大学生になってリーダーとして支えてくれたり…

「今度はリーダーとして参加したいです」なんていわれると

ああ、やっててよかったなあ…と。

 

きっと、こんなつながりがうれしいのは

クリエイターを影で支えてくれている事務局のメンバーも同じ。

コーディネーターをはじめ、事務局メンバーがお礼を直接言われることはないけれど

参加者が大学生になってリーダー登録してくれたりすると、全員で喜んでる。

「大きくなったんやね。ありがたいことやね」

なんて、ちょっとしたファミリーですよ。参加者もただのお客じゃない。

他人事にせず、みんなで成長を見守ろうという気持ちは同じなんです。

 

自分たちのプログラムは、そんな事務局のフォローがあるからこそ続いているんです。

 

 

毎日毎日全員が駆け回っているSHOSAPO。

この人たちは、そんな忙しさをも楽しんでいる…まさに「あそび」が仕事な人たちなのです。

 

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≪取材・撮影≫ 松本